ジョブカン成長秘話・組織編

プロフィール

株式会社Donuts 執行役員
ジョブカン統括責任者 石山瑞樹

2012年に株式会社Donutsに入社し「ジョブカン勤怠管理」のサービス責任者に就任。マーケティング・制作ディレクション・営業支援・ブランディング構築など、多岐にわたる業務を兼任し、クラウド勤怠管理システムシェアナンバーワンのポジションにまで成長させる。その後、ジョブカンのシリーズとしてワークフロー、経費精算、採用管理、労務管理、給与計算をリリース。

ジョブカンがシリーズ導入実績数50,000社を突破!おめでとうございます。

ありがとうございます。おかげさまで現在、月間資料請求数は5,000社以上で、毎月約1,000社の有料契約を獲得しています。また、SaaSはスタートアップ企業の指標がT2D3(3倍 3倍 2倍 2倍 2倍)と言われていますが、ジョブカンは2012年から2018年までの7年間で5倍 5倍 5倍 3倍 3倍 2倍 2倍の勢いで成長しています。現在約30名の営業メンバーでこのような実績を出しています。

営業メンバー30名で毎月約1,000社の有料契約を獲得しているのはすごいですね。具体的に、どのような方法で成長したのでしょうか。

もちろん30名では少ないと思っています。もっと人数が多ければ、より成果を上げられるはずですので、絶賛営業メンバー募集中です!

さて、サービスの成長にはマーケティング戦略・営業戦略・プロダクト戦略・組織戦略など、さまざまな要因が複合的に関係すると思っています。

なるほど。前回はプロダクト戦略を伺ったので、今回は組織面での成長戦略について教えていただけますか?

組織は心理的な影響を考えて組み立てることが多いのですが、主に以下のようなことを重視してきました。
・各サービスが独立した「縦割りの組織」
・サービスリリース直後は営業とCSは分けない
・サービスリリース時は最も優秀な営業メンバーを配置
・他社の事例を安易には取り入れない
・サービスの歴史を継承しながらも新たな取り組みにチャレンジ

縦割りの組織にすることでメンバーひとりひとりがサービスにこだわるようになる。

“各サービスが独立した「縦割りの組織」”とは、どのようなものでしょうか。

ジョブカンは現在、6サービスを展開していますが、サービスごとにチームを分け、各サービスで営業・開発を行っています。一般的には営業部門が全てのサービスを販売する横断的な組織構成が多いようですが、ジョブカンではそのような構成をとっていません。

横断的な組織構成を選ばないのはなぜでしょうか。

縦割りにすることでメンバーひとりひとりがサービスにこだわるようになります。お客様の声により耳を傾けられますし、競合調査や営業戦略の立て方、開発が各チームでブラッシュアップされ、スピード感を持って実行できます。
また、ジョブカンは、6つのサービス全てでナンバーワンを目指しています。グループウェアとしてではなく、「給与計算ならジョブカン」「経費精算ならジョブカン」などと認知してもらうためにクオリティーの高いサービスを提供し続ける必要があります。そのためにもこの組織設計が有効です。

ただ、組織設計はサービスや企業の成長フェーズに合わせて柔軟に変更していくことが重要だと考えているため、今後横断的な組織にする場合もあるかもしれません。

他社の成功例に影響されず、冷静に自サービスに合う施策かを考えることが必要

「サービスリリース直後は営業とCSを分けない」とありますが、理由を聞かせてください。

営業とCSで方針を合わせることが事業を拡大していく上で重要だからです。営業は契約件数や契約率を求め、CSはチャーンレート(解約率)を求める場合が多いです。これでは双方で目線が違うため、不満が出るようになります。これを防ぐためにも、サービスリリース直後は“営業兼CS”として販売とお客様フォローの両方を経験しながら、最も良い体制を作る必要があります。営業とCSそれぞれが追うべき数値を確定させてから部門を分けることで、同じ目線で事業を進められます。

「サービスリリース時には最も優秀な営業メンバーを配置する」のは、どのような効果があるのでしょうか。

通常の営業メンバーを新サービス最初の担当者としてアサインしてしまうと、「そのサービスに魅力がないから売れない」のか、「サービスに魅力はあるのにその人に売る力がないから売れない」のかが分かりづらくなります。一方、最も優秀な営業メンバーを配置すれば、その人でも売ることができなければ「プロダクトに問題がある」と仮説をたてることができ、事業判断がしやすくなります。複数のサービスを展開しているジョブカンだからこそ有効な方法ですね。
また、優秀なメンバーが他のチームメンバーにもいい影響を与え、自然とチーム全体の獲得件数や売上が上昇するという利点もあります。

これまで斬新な組織設計を取り入れてこられたようですが、一方で「他社の事例を安易には取り入れない」という方針もあるんですね。

他のSaaSの施策が必ずしもジョブカンに合うわけではないと考えています。
例えば、電話サポートがなかったり、クレジットカード収納のみにして成功したサービスもあるようです。しかし、ジョブカンは電話サポートがあるからこそお客様にご満足いただいていますし、支払方法もクレジットカードより請求書払いの方が社数も請求額も数倍多いです。他社の成功例に影響されず、冷静に自サービスに合う施策かを考えることが必要です。

また、「サービスの歴史を継承しながらも新たな取り組みにチャレンジ」する必要があるとのことですが。

ジョブカンのような成長スピードが速いサービスだと、新たなメンバーもどんどん参加します。もちろん新しいチャレンジをすることも大切なのですが、今までの手法を一気に変更してしまうと、獲得件数や売上など目標としている数値がガタッと落ちてしまうケースがあります。新たに入ってもらったメンバーにはサービスやチームの歴史を伝え、知ってもらうことが重要です。
「新しいチャレンジ」は、それを踏まえた上でしなければ成功につながらないと思うからです。私自身も、それまでのジョブカンの手法をきちんと学んだ上で無料プランの開始や料金体系の変更などにチャレンジしてきました。これからもメンバーには、ジョブカンを深く知ってもらってから他のSaaSが取り入れていないことにチャレンジして欲しいですね。

ジョブカンは全てのサービスでナンバーワンを目指す。
単体であっても、最も選ばれるサービスになる。

ジョブカンのこれからについて教えてください。

ジョブカンは全てのサービスでナンバーワンを目指します。各サービス間の連携をより強めることはもちろんですが、単体であっても、最も選ばれるサービスになりたいと考えています。より快適に、長く、多くの方に使っていただけるように成長の歩みを止めず邁進します。
また、今は少人数精鋭で事業を運営していますが、新たにチームに加わってくれるメンバーが増えると、さらに導入件数を加速できると考えています。ぜひ多くの方にこれからSaaS業界を牽引するジョブカンチームにジョインし、活躍してもらいたいです。

他にもたくさん話したいことがあるのですが、長くなってしまいますね(笑)

またぜひお伺いしたいです!本日はありがとうございました。